エゴイストな僕ら

●力尽きました……。




●落ちて風呂入ろうとした矢先。
　網戸に何か虫っぽいものが止まった気配。
　嫌ぁな予感(かなぶんとかの真壁の嫌いな虫の類)でもいるのかと、カーテンを開けたらなんと。
　今年初めて出会う蝉殿がいらっさいました。

　おぉ、蝉ではないか！　今年初めて見たぞ!!

　と、夏を感じつつ網戸を弾けばどこぞに飛んでくだろうと思ったが甘かった。
　急に暑くなって蝉殿もバテ気味だったのか、飛ばない(飛べない？)。
　仕方がないので虫が入らないように気を配りつつ、手近のジョーロで水をかけてやる。
　
　……が、飛ばない。何度かかけてやるが反応ナシ。
　むしろ突然暴れてきたりするもんだから慌てて網戸を閉めて蝉をシャットアウト(マジでビビった…怖かったですよえぇ夜中だしね)。しかしジョーロを少し振り回してしまった所為で水が網戸付近に飛び散っているのを拭く。
　拭きつつ見当たらなくなった蝉にほっとして、少し声が遠くなって一瞬鳴いたので安心したものの確認しないと落ち着かなくて懐中電灯片手にベランダに出てみたら…プランターの受け皿に止まっている。

　オイ！

　２Ｌペットに汲み置きしてある水をまいてなんとかどこぞに飛んでってもらおうとしたのですが暴れるばかりで――というか、力がなくてベランダが越えられないらしくちと不憫になる。
　蝉との激突を避けつつベランダで一悶着。
　デッキブラシでつつくも飛ばず。
　仕方がないのでデッキブラシにとまってはくれまいかと仕向けたらうまくつかまってくれたのでベランダ越しに放してやりました。
　今度は飛べたらしい。
　良かったな蝉。


　７年土の中ですごして７日間しか日の下にいられない彼らを憐れに思ってこんなことする真壁はどうしようもなくエゴイストだろうがそれでもいいよ。
　おっかなびっくりおどおどと、挙動不審になりながら(笑)、翌日ベランダで彼の蝉殿の死骸を見つけて後悔するよりは自己満足でももう一度空を飛ばせてやって人知れず命を終えてもらった方が希望が持てるじゃありませんか。

　でも精神力は使い果たしましたo(_ _o)
　今度こそ風呂入って寝ます。疲れた……。