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真壁華夜がその日・その時感じたことや考えたことの整理或いは備忘録的に使われることもあれば萌えメモとして使われることもあるし、日常の愚痴をこぼしていることもあるかと思います。基本的に偏屈な管理人sが綴っているのでその辺を許容できる人向け。反感買いそうなものは裏日記に書くようにしています。
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2007/01/09 (Tue) 02:19:28
 明日から実家に帰省します。木曜日か金曜日に埼玉に帰宅する予定。
 厚いので実家に連れ帰るか迷うところですがきっと持ち帰ると思います。そして読破してると思います。
 やっぱり榎木津さんが素敵です。
 京極もほんと相変わらずで素敵。
 
 今日やっとで行き着け京極サイトさんの京極本通販の入金しに行けたので届くのがもう今から楽しみで楽しみで仕方がありません。
 もうほんっと素敵なイラストサイトさんなのですよ。
 榎木津さんと京極がものすっごくイメージにぴったりで叫びたくなるくらいなのです。
 もう一箇所リンクはらせていただきたいところがあるんですよね。
 そこは郷嶋さんがもうものすんっごく真壁のイメージというか好みというかにクリーンヒットでして。
 読み返してはほえほえしてます。


 そんなこんなで次の更新はいい加減【灼熱 ―後編―】脱稿したいです。
 そしたら久保時ですね。正月モノ。正月も今更感ありますが…まぁ、大目に見てやって下さいませ。
 いっそ正月(新年)モノを3作、久保時・黒ファイ・榎京で書いて1冊にしてバラまいてみたいとも思うのですがどうにもこうにも需要がなさそうでいけません。
 というか京極を別館に確立することを考えていますがいっそ京極オフラインに限定して別館はツバサ一個でやった方がいいのかなとか思いつつ。
 やっばりサイト持ってると、手っ取り早いサイトでの垂れ流しが理想的な気がするのでそのうち。
 改装します。地味に。
 いいかげんあのクリスマスアイコンをどうにかしたい……。

 今度はどんなアイコンにしようかなー。

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2007/01/03 (Wed) 14:21:11
 探偵は神出鬼没。
 が、いいなぁと。で、いいなぁとも思いますが。
 榎木津さんの行動はほんと予測不可能っぷりが魅力だと思う真壁です。昨日某所の字茶会に、参加できる時間だったのに『狂骨の夢』読み耽っていたため参加できずちょっと悔しい思いをしていたり。


 そんな年明け最初の更新は懲りずに京極だと思います。Web拍手のお礼画面用SSのタイトルが決まらず3話目が難航していたのですが、遅筆っぷりも目下マイ・ブームな京極を一作書けば落ち着くような気もするので久保時にする予定を変更して京極にします。タイトルは『誓約の欠片(うけいのかけら)』です。あんまり浮かばないので辞書眺めて字を選びました(笑)。やっぱ辞書いいですね。国語辞書大好きです。実家から持ち帰ることにしました( ̄▽ ̄;)
 そんなこんなでWeb拍手のお礼画面用SS3話目のタイトルは『誓約の欠片(うけいのかけら)』か『誓約の詞(うけいのことば)』の予定。4話目が『永遠の――』だったのですが、その『――』部が確認できてないので決めかねていたり。埼玉に帰ったら確認します。
 書きたいと以前こぼしていた復員話に絡めようかなぁと。
 趣味に走っています。だってやっと書けそうなんだもの。書きますよ…ということで今年からは別館に京極小説置き場が増えます。

 本館→執行部&W・A関係
 別館→本館以外のジャンル(黒ファイ・榎京・京榎他未定)

 です。
 呆れずお付き合い下さいませ~♪

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2006/12/16 (Sat) 02:02:04
 ――確か。
 真壁の記憶が確かならば『百器徒然袋―風』を火曜日に読了し、水曜日から『姑獲鳥の夏』を読み始めたのだったと思われます。実家に帰るのに持ち帰って実家で只管読んで読了。現在『魍魎の匣』に突入しております。そりゃぁもほんとに暇さえあれば読んでます。下手すると年内に既刊本を読み終えそうですが、冬期講習会という手強い奴がいるので無理でしょう。
 読みながら何をしているかと言えば。
 小説書くときのネタになりそうな部分にひたすら付箋を貼ってます(笑)。Post itじゃありません残念ながら。カインズブランドの安物です。

 ということで再読『姑獲鳥の夏』の感想なぞ。


 まずは榎木津さんのおとなしさに吃驚(笑)
 そこかよ!! ってカンジの感想ですが『百器徒然袋―風』読んだ後じゃどう贔屓目に見てもアレは猫被ってるようにしか見えません。おとなしい。あと、何となく初々しい(…)。
 まだ榎木津節が炸裂してません。
 神っぷりが発露してないかんじ。
 口調がまだ固まってなかったんだろうなぁ…きっと。
 まともに喋ってることの方が多くていっそ不思議です。
 作中でトイレに立ってしまうあたり…うん。天然なんだろうなこの人。
 それにしても『姑獲鳥の夏』はアレですね。今読み返すとものすごく関→京ですね(苦笑)。
 
 サイトめぐりしてして榎木津さんの出征前夜モノ榎京とか榎木津さんの復員話榎京とか書きたくなりました。うずうず。
 こんなカンジに(※榎京注意)↓


「行くんですね、あなたも」
 近づいてくる足音と気配。
 振り返らずともそれが誰なのか悟った彼は背を向けたまま彼に尋ねた。
「――行くよ」
 実に明快な答え。
 その言葉には、言葉以上のものを救い上げる余地などないに等しい。
「お前の顔もこれが見納めかもしれないな」
 紡がれた言葉の端に、言外のものを感じたような気がしたのはしかし錯覚ではないだろう。
 中禅寺はゆっくりと振り返り彼を見上げる。
「いけませんよ、そういう言葉は」
「何が?」
「言葉は呪だ。負の言葉は負を引き寄せる。無意識でも、あんたをそういう方向へ縛る」
 乾いた土の音を風が攫う。
 二人の距離が縮まって、そのまま擦れ違うような位置で、中禅寺は榎木津の耳元に唇を寄せ、そっと――甘い囁きのように呟いた。
「榎さんは――必ず、帰ってきますよ」
 肩越しに振り返り不敵に微笑う。
「それも呪いか?」
 向き合うために、榎木津は体の向きを少し変えた。
「祝いだよ。仕組みは変わらんがね」
 僕からの呪いだ。
 あんたが復員したときに成就する。
「じゃあ――お前に預けておけば間違いないな」
 差し出されたのは一枚の写真。
 綺麗な人が写っていた。
「嫌がらせですか?」
「その方が忘れないだろ」
「なるほど。それが――あんたの『呪い』か」
 

 ……みたいな。
 微妙に『邪魅の雫』ネタバレを含んでいるという。
 そんで復員後のやつとこれを対にするのですよ。
 左目を怪我して戻ってきたのを目の当たりにして「『必ず』帰ってくる」とは云ったけど「『無事に』帰ってくる」とは云ってなかったから――という(屁理屈くっつけての)話。
 やる気満々ですね。
 もう…別館の小説置き場をツバサ関係と京極関係に増やす気でいるようにしか見えませんよねぇ……。
 どうなんでしょうね。


 今『魍魎の匣』を読み返していて吃驚したことがまたひとつ。
 榎木津さんが父上のことを「それなりに父を尊敬している」という事実。
 忘れてた……!!
 京極堂曰く「世界一信用してない親子」(確か)だったハズ。
 信用と尊敬はまぁ矛盾するものじゃないですが。
 榎木津さんの辞書に「尊敬」って言葉があったことに驚きを書くせない真壁です。
 読み返すのって発見があって面白いですね。

 しかし『魍魎の匣』がまだ文庫として薄い方だと思えてしまうあたり、感覚がやっぱりおかしいですね。
 十分厚いよね魍魎……。


拍手

2006/12/10 (Sun) 03:46:38
 ブロットのメモ。榎京注意。



 帰ってきた家の縁側に腰を下ろして前屈みに座る京極。
 誰もいない家の庭先で、ようやく終わった伊豆の事件の後味の苦さに溜息。
 吐き気がするほどの気分の悪さが未だに抜けず堪えている。
 欠けた月が昇り始めた。

【宴の後(仮) ―プロット―】

 日も暮れた頃、事情聴取やらを終えて神田は神保町の事務所に帰ってきた榎木津さん(和寅は買い物に出ていて不在。ビルは真っ暗)。
 電気も点けずに応接用ソファに前屈みに座る探偵。伊豆の事件の黒幕――堂島大佐に見た過去に纏わりつかれ疲弊している様子。
 室内が暗いためより鮮明になっている。
 左手で目を覆い視界を遮って溜息。
 帰ってくる和寅。電気点けて榎木津さん帰ってきてるのに驚く。
 和寅の言葉を聞き流して、無言で席を立ち事務所を出る探偵。
 向かった先は京極堂。
 駅から徒歩30、40分の道程をわざとゆっくり歩く(答えを探す時間を稼ぐように)。
 やがて着いた店先で、奥座敷に回ろうとして珍しく少し躊躇う。
 けれど結局そのまま奥へ。
 縁側でひとり何かを堪えているような様子に足を止める。唆した責任を幾許か感じているような探偵。
 暗がりの中、中禅寺が伊豆の事件を思い遣っているのに気付く。
「いつにも増して顔色悪いぞ、この本屋」
 しかし結局いつものように振舞う探偵。
 京極は顔を上げない。「何しに来たんだい」と冷たく儀礼的に聞き返す中禅寺。

 沈黙。
 と、静止。

 急に咳き込んで吐く中禅寺。
 駆け寄って介抱(そんな器用な真似できるんだろうか榎さん(謎))し、ずかずか台所に向かって水を持ってくる探偵。
「あれだけ云ったのにまだ解らないのかお前は」
 呆れた口調で水を渡す。「我慢しすぎるからそういうことになるのだ」
「他に方法もないだろう」
 強がる古書肆。
 譲らない探偵。
 再び沈黙。
 言葉を見つけられない探偵。
 沈黙を貫く拝み屋。
 無理矢理腕を掴んで乱暴に、引きずるようにして座敷に上がらせ奥の間に突き飛ばすように促す探偵。
「着替えろ」
 それだけ云って襖を閉める。閉めた襖に背を預けるように座り込む。
 その襖に背を預けて自分の体を支えるようにやっとで立ってる京極。
「唆したこと、僕は謝ったりしないぞ」
「あぁ」
「悪かったとも思ってない」
「解ってるよ、そんなことくらい」
「けど、解ってないこともあるだろ。お前」
「……何が、云いたい」
 緊張する空気。
 口にしようとして、迷い。
 けれど、結局口にする。
「お前の所為じゃない」
「…………」
「僕には憑物なんか落とせないぞ。だから、自分で何とかしろ」
 突き放したような言い方。
 けれど、真意は伝わった様子。
 動いた気配。
 衣擦れの音。
 それでいい。
 探偵は満足そうに笑みをこぼす。
「この前、美味い店を見つけたぞ」
「そうですか」
「付き合え」
「相変わらず強引だな、あんたは」
「偶には唆されてみたらどうだと出掛ける前にも言ったはずだ」
「そうだったな」
 着替えを済ませている間、庭を片付けている榎さん。
 中禅寺が出てくるのを、縁側で星を眺めながら待っている。
「遅い!」
「あんたの着替えより短いよ」
「――何だ。いつもどウりじゃないか」
「おかげさまでね」
 連れだって家を出る二人。
 榎さんオススメの店とやらへ。


 and that all......?(真壁にも解りません(それもどーよ))



 こんなかんじかな。うん。多分変わるな。
 段々乗ってきて、プロットなんだか草稿なんだかわからんくなってくるのはいつものこと。
 
 別館の携帯サイトにも京極置き場を設けて小説もupしたんだが、どうも長すぎて携帯のメモリを超えちゃうらしく表示されないことに今日気付き、結局なんだかんだで4分割することになりました(笑)
 ふ、不覚……。


  

拍手

2006/12/09 (Sat) 04:40:52
 京極ブーム。
 困った。『姑獲鳥の夏』から読み返したくなってきてしまった。とんでもなくブーム。探偵と本屋が愛しくて堪んないです。えぇ。
 幸い昨年の映画のおかげでこっちに『姑獲鳥の夏』の文庫版があるので読める。
 そんでもってそのまま『魍魎の匣』→『狂骨の夢』→『鉄鼠の檻』→『絡新婦の理』→『塗仏の宴 宴の支度』→『塗仏の宴 宴の支度』→『陰母羅鬼の瑕』→『邪魅の雫』と読み返したくなってきた。
 でもその前にまずは『百器徒然袋―雨』→『百器徒然袋―風』だな(笑)

 あぁもう…何でこんなにステキなんだこの二人。
 そんでもつてやっぱり真壁は『塗仏の宴 宴の始末』の、榎木津さんが京極堂に現れ京極を問い詰める下りが大っ好きです。

「でもお前が嫌なんだろう」

 と、詰め寄るあたりはもう…じたばたしちゃいます(笑)
 じたばたじたばた。
 そんで最初から読み返したくなってきたわけです。
 ノベルズの方が読みやすいのですが、京極本の加筆修正はそれはもう恐ろしいほどなので文庫を持って帰って来たいです。その方が置き場所にも困らないし(ストッカに突っ込んでベッドの下だなきっと)。
 来週実家に帰ろうかなぁ。
 年賀状も引き取ってこなきゃならないし(面倒くさいが仕方がない)。
 京極本の楽しみがあるからまぁいいんだが。
 だめですね…自分で書いちゃうと余計楽しくなってきちゃうんだ。
 今年思い知りました。
 ツバサもそうだったもんなぁ…黒ファイ書いちゃったから、余計楽しくなってきちゃったんだ(苦笑)。


 初☆京榎小説を嫁に出した先で京極がジャンルに復活していることを期待。
 さりげない私信。
 気付くかなぁ……。 

拍手

2006/12/09 (Sat) 01:29:40
 真っ先に反応したのは高校時代からの友人でした。
 はよ書けときたもんだ(笑)

 本気にするぞそんなこと言うと。
 次は『塗仏の宴 宴の始末』のその後。榎京にチャレンジ。
 真壁はどうやら「らしくない」ことしてる探偵がいたく気に入っているらしい。
 すんごく萌え。らしくない榎木津さん最高!!
 とても三十路過ぎ(恐ろしい…改めて書いてみると恐ろしい。アレで三十路過ぎ…三十路過ぎてるって――え゛ぇぇぇぇ?!)たオジサンと読んでも差し支えない御歳で意味不明な発言をし大暴れする探偵もステキなんですが、それ以上に「らしくない」ことして微妙に空回り気味で、そんな自分を持て余してる風の――要するに『邪魅の雫』の探偵はえらく好みだったわけであります。

 そんで『百器徒然袋―雨』を読み返していてわけですが。
 榎木場にも木場榎にも転びませんが。
 それでも木場さんが不意に「礼次郎」って名前で呼ぶのにはときめきます(爆笑)
 え゛…き、木場さん∑(//□//)
 みたいな(どんなや)


 あぁそうそう。『邪魅の雫』読んだ後で『百器徒然袋―雨』読み返すと、事件の前後関係がわかって面白いです。あぁ、「大磯の事件」って『邪魅の雫』のことかーとか。『陰母羅鬼の瑕』読んだ後で「白樺湖の事件」ってコレのことね!! とか。
 そういうのも面白いんですよね。うん。
 さーて。
 自宅残業するかな。
 しかし…ひび割れた指先が痛いなかプリント作るのはしんどいね。

拍手

2006/12/04 (Mon) 11:22:22
 ログも下がったし反転じゃ詠みにくいしで京榎解禁しましたー。
 御飯の炊飯予約かけたはずが保温になっててお米が台無しに(爆)

 何とかおかゆとかリゾットとか雑炊とかに転じられないか画策してます。

拍手

2006/12/04 (Mon) 01:08:22
 ようやっと『邪魅の雫』読み終わりましたー。
 あー…面白かったぁvv
 前半がちょっと長くって結末までの道程にくったりさせられましたがそれはそれ。後半乗ってくるともう――止まらないです。昨日もつい見切りがつけられなくて5時まで読んでました。もう昨日じゃなくて今日ですよね(苦笑)

 そして読み終えた後その勢いでもって京榎小説脱稿しました(笑)
 こっちはこっちで楽しかった。うん…意外と書けるもんですね。でもこれキスシーンモなきゃ色っぽいシーンもないのでBLに分類されるものかは判りません。
 興味のある人はどーぞ。






 西空を焼き尽くした太陽は、いつの間にか姿を消していた。
 その代わりに降り立った闇の中、周囲に充満した闇よりも濃く広がる海にひとつ。
 邪に魅入られてしまった人々の背中を押したモノは、小さな――あまりにも小さな闇の雫となって。
 漆黒の深い闇の中へ。
 潮騒に飲み込まれて――消えた。 

【闇の雫】

 自分の体重を受け止め足跡を刻む、砂の感触が今日はひどく面白くない。潮騒に混じって聞こえる音も耳障りだ。
 置き去りにした彼女を彼が振り返ることはなかった。
 ただ、前だけを見る。
 いつの間にか忍び寄っていた闇が拡張し充満し目に映る世界を取り込んでしまっていたことを再確認させられるだけの面白みのない風景。
 不愉快、だった。
 誰の所為でもない。けれど割り切れない。自分にはあぁすることしかできないことも諒解っている。が、喉の奥に引っ掛かるような後味の悪さもまた事実で。
 背徳いのとは違う。
 後悔などではない。
 ただ――それはどうしようもなく彼を侵食するだけ。
 どのくらい離れただろう。
 探偵はふと足を止める。
 潮騒は止むことなく、海は闇に少しずつ侵食されて空との境界も海と空の間を埋める闇との境界も見極められなくなりつつあった。何となく右目を隠したら全く区別がつかず探偵は自嘲する。
 潮風が通り過ぎていった。
 不意に、波音に砂を踏む音が混じって聞こえ出す。
 肩越しに振り返った視線の先に、辺りに広がる闇の中で一際深い漆黒の闇――黒衣の陰陽師の姿があった。
 彼の中でまた、少しだけ不愉快が濃度を増す。
「――…何か用か」
 この馬鹿本屋。
 相手をするのも面倒だと言いたげに端正な顔を歪めて口にした。今会いたくない相手の一人だった。
「随分な挨拶だな」
 皮肉っぽく口元を歪め、古書肆は応じる。「待ってたんだよ、あんたを」
 漆黒を纏って佇む陰陽師は、さながら闇の雫のように見えた。
 砂浜に吸収されることもなく。
 海と混じることもなく。
 空に消えることもない――絶対的な闇の雫。
「拝み屋の出番はもう仕舞いだろ」
 凪いでいる海とは裏腹に、探偵の内部はざわめき出した。
 不快感が凝縮して喉許を下っていく。今はあまり人と話をしたくなかった。
 彼は中禅寺から視線を逸らす。背を向ける形になった。
「この間唆されたお礼だと、最初に言ったはずなんだがね」
 そんなことを言われたような気がする。
 他人の内側を覗いたり立て直したりするような真似は自分にはできない。できないから、託した。
 お互いにそのまま動かず立ち尽くす。
 探偵が視線を逸らした黒い影が先に動いた。
 砂を踏む足音。
 寄せては返す波の音。
 重なり、溶け合い、彼の神経を逆撫でる。
「最後まで、付き合おうと思ったんだが――」
 無駄に面倒見の良い憑物落しは動かない探偵の横を通り過ぎ、その正面に立った。
 探偵は、まだ、顔を上げない。
「余計なお世話なら帰るよ」
「お前の、そういうところが嫌いだ」
 そう言って、陰陽師の肩口に顔を埋める。
 箍が外れそうになるのを堪えて、探偵は幾分疲れた声で言葉を継いだ。
「いつも、よく平気だな。お前は」
「狡いから――だよ。多分」
 自嘲するように苦笑した
「千鶴ちゃんに恨まれても知らないからな」
「帰りますよ」
「…………」
「冗談ですよ」
 可笑しそうに喉の奥で笑われ、憮然として探偵はまた黙り込む。
「あんたがそんな調子じゃあ、周りがみんな困るからね」
「僕の知ったことじゃない」
「でも、あんたは嫌なんでしょう?」
「……本当に嫌な奴だな、お前」
「褒め言葉――として受け取っておくよ」
 ようやく顔をあげた探偵は、珍しくバツが悪そうな顔をしていた。
 古書肆は心底可笑しそうに破顔して、しかしすぐに笑いをおさめて探偵を見る。
「――行くぞ」付き合うんだろ。
「あぁ」
 二人分の足跡が砂浜に残る。
 緩慢に寄せて帰る波がそれを消していく。
 残るものなんかほんのわずかだ。
 変わらないように見えても世界は変化を繰り返して続いている。気付かないだけだ。
 一度着替えに帰らないとな、なんて当たり前の言葉がひどく場違いのようで。
 なんとなく、終わったんだなと実感がわいてきた。   
 海岸から平塚署まで歩いて戻る間、無言だったが特に不快ではなかった。
 そして平塚署から中野まで、探偵は乗ってきた車に中禅寺を乗せて夜に馴染んできた街並みを抜ける。古書店・京極堂に着く頃には、すっかり宵闇は夜の闇に変貌を遂げていた。
 見慣れた「骨休め」の札の掛かった店の前に車を止めて、母屋の玄関に回り中に入る。中禅寺の細君の気配は家の中になかった。
「千鶴子なら雪江さんと夕食を食べに出ていていませんよ」
 勝手を良く知った家の中を、いつもの座敷に通される。
 灯りの点いていない家の中は、あの海岸の風景のように夜闇に侵食されていた。
 しかし人工の光で以てその闇はいとも簡単に薙ぎ払われてしまう。
「少し待っていてくれ。着替えてくる」
 そう言って主はお茶も出さずに襖の向こうへと姿を消す。
 闇の代わりに今度は静寂が空間を支配していた。耳に焼きついた潮騒が脳裏で繰り返される。
 襖越しに聞こえる衣擦れの音が、普段は気にならないこの家の静けさを煽って探偵をまた不快にさせた。
 いつものように弛緩して畳に寝そべることもせず。
 探偵はゆっくりと腰を下ろすと長い足を持て余したように片方だけ抱き寄せて、そこで頭を支えるように顔を伏せたまま待っていた。
 時計が五月蝿い。
 猫も、今日は姿を見せない。
 面白くない。
 本当に、面白くないことばかりだ。苛苛する。
「珍しいこと尽くしだなぁ、今日は」
 着替えを済ませて戻ってきた主は気怠そうな探偵の様に意外そうな声で呟いた。
「……遅い」
 顔を上げずに不満を口にする探偵は、酷く疲れているように見える。
「重症だなぁ、今日は」
 率直な印象を口にして、黒衣を脱いだ憑物落しは後ろ手で襖を閉め乍らこぼした。
「あの時のお前だって似たようなものだったろうが」
 しかし、憎まれ口を叩く余裕はまだあるらしい。
 少し安堵したように苦笑して、古書肆は「行くんでしょう?」と探偵を促した。
 緩慢な動作で探偵は立ち上がる。
 しかし、足許に視線を落としたままでその場から動こうとしない。
「京極」
「何だい?」
「…………」
「黙ってちゃ解らんよ。あんたの場合口にしたって解らないことが多いんだから」
「ならいい」
 接ぐ言葉を引っ込めた探偵に、古書肆は静かに答えを投げる。
「方法を、間違えただけですよ。きっと」
 耳に残る潮騒が一瞬姿を眩ませた。
「或いは――気付くのが、少し…遅かっただけだ」
 けれど、喉の奥に不快な蟠りが生まれる。
「あんたの所為じゃない」
 耳を塞いでしまいたい衝動に駆られた。
 言葉は、いつも不便で肝心なときに役に立たない。
「……嫌な奴だな、ほんとに」
 ようやくそれだけを苦々しく口にすると、目も合わせないまま古書肆に背を向け歩き出した。
 小さく苦笑とともに溜息を吐き出して拝み屋はその後について行く。
 外の景色はいつの間にか、傾いた日に染め上げられた夕焼け色の屋根が眩しい頃合になっていた。
 古書肆の先を行く探偵は、ただ黙って歩くだけで目的地を口にしない。だが気に留めた様子もなく、中禅寺は探偵の後に従った。
 夜に包まれた街は、探偵の抱えるこの遣り場もなく後味の悪いすっきりしない――言い様もなく持て余しているものなどとは関係なくただゆっくりと流れている。
 そんなことが妙に癇に障る。
 自分に余裕がないことを探偵は自覚する。
 そしてまたひとつ不機嫌の要素を抱え込んだ。
 駅に着き、切符を買い求め、改札を抜けてホームで電車を待っているとタイミングよく然程待たされず乗り込むことができた。
 車内はひどく空いていて、探偵は端の席に陣取り寄りかかる。
 弛緩している姿は珍しくもないが、纏っている空気はいつもとは明らかに違っていて。
 ただ静かに古書肆はその隣に腰を下ろし、探偵の沈黙に付き合った。
 電車の揺れとアナウンス、流れる車窓の景色は少しだけ探偵の気分を鎮めたよう。
 転寝するように目を閉じた探偵は、束の間だけしがらみから意識を切り離した。
 不貞寝しているようにも見えて、中禅寺は少し可笑しかった。
 探偵が選んだ行き先は、自分のビルのある神田。そこで下りると何も言わずにまた歩き出した。
 喧騒が癇に障るのでそれを避けようと路地に入る。
 榎木津が案内した先は、居酒屋というよりも小料理屋のような外観のこじんまりとした店だった。
 カラカラと音を立てて戸を開けると、馴染みの店なのか店主と女将に短く挨拶をしてカウンターの一番端の席に腰を落ち着ける。
 珍しいことだらけだ。
 らしくない――と言った方が正確か。
「全部任せる」
 中禅寺の意向を確認することもなく店主に丸投げして、探偵は出された料理をつまみ酒を煽った。苦笑しながら古書肆は特に不満も述べずそれに付き合う。
 自棄酒――というわけではないが、それに近い。
 彼は、ずっと…言葉を探している。
 それが判ったから中禅寺は急かすこともなくただ待った。
 店主と女将が時折心配そうに――いつもと様子が明らかに違って見えるからだろうが――
視線を投げてきたが、探偵は気付いていないのか気付かない振りをしているのか、まだ、言葉は見つからず沈黙を貫いている。 
 そして。
「――…僕は」
 漸く口を開いた。
「できることはしていたと思うよ」
 彼が全てを語る前に、漆黒を脱いだ拝み屋は答えた。
「不便なものだな。不要なものはよく見えるくせに、必要なものはなかなか見つからなかった」
「そんなものだよ、誰でも」
 優しく諭すように古書肆は語る。「どうしようもない」
「どうして――」
 言いかけて、やめる。
 彼女には、自分の言葉は伝わらなかった。
 でも、今更仕方がない。
 探偵はそう判断して酒とともに言葉を飲み下す。ひどく苦い。こんなに不味い酒は久し振りに飲んだと探偵は苦々しくこぼした。
「やっぱり、言葉は不便だな」
 自嘲するように口にする。
 彼女には通じなかった。
 だから――多分、あぁ言うしかなかった。
 けれど。
「お前なら…別の言葉があったのかもな」
「あんたの言葉だから有効だったんだよ。もっとも――」
 僕が言わせたくなかった言葉をあんたは言ってしまったようだがね。
 拝み屋はそう言って苦笑する。
「そういう意味じゃ僕はあんまり役に立てなかったのかもしれない」
「僕が選んでしたことだ」
「あぁ」諒解ってるよ。
 苦笑したままそう応じる。
 事件の幕を引いた後はいつもこうだ。
 少しの背徳さと。
 罪悪感ではないけれど、幾許かの後悔に似た思い。
 苦く、遣り場のない――事件の余韻が付き纏う。
 その重みのように、探偵は漸く割り切れたのか切り捨てたのか――陰陽師の肩に頭を預けて凭れ掛かった。
「らしくないなぁ、本当に」
「五月蝿い。悪酔いしたんだ」
「なるほど」
 偶にはそういうこともあるかもしれないね、と陰陽師は小さく笑う。
「そういうことにしておくよ」
「今回は――久し振りに疲れた」
「堪えた、じゃないのかい?」
「……嫌な奴だな、本当に」
「お互い様だよ」
 自嘲するように探偵は苦笑して応じた。
 グラスの氷が解けて軽やかな音を立てる。
 いつの間にか、自分の中に蟠っていた言葉にできないいろいろなものは溶けて姿を消していた。
「京極」
「今度は何だい」
 口にしようとして、やめる。
「これで、貸し借りナシだな」
 それでいい。
 探偵はいつものように不敵に笑う。
 いつもの――見慣れた顔だった。
「そうだな」
「全力で飲み直しだ!」
 ゆっくりと姿勢を直し探偵は、急にいつもの様子で女将にあれこれいつもの調子の説明とも言えない説明で気に入った料理と酒を追加で頼む。
 また新しい客が現れて、扉の外に広がる夜闇が顔を覗かせた。
 隙間から覗いた闇の雫はしかし、店の中を満たすことはできず光に飲まれ遮断される。
 それを一瞥して探偵は拝み屋に視線を投げて様子を窺った。
「たまになら――付き合ってやってもいいぞ」
 悪戯っぽく笑って見せる。
「じゃあ、憶えておくよ」
 拝み屋の仮面をようやく外して普段の古書肆の顔に戻った中禅寺を見て満足そうに、探偵は手にしたグラスを中禅寺のそれと軽く触れ合わせた。
 涼やかな氷の音が小さく響く。
 そうして改めて口を付けた酒は不味くなかった。


――THE END――







 どうでしょう。
 イケますか?
 ってか長いですかね。
 ジャンル外のもの書くと、置き場に困るって話です。はい。

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2006/12/03 (Sun) 00:54:00
 え゛ー…本日の[瑠果占い]

 →目的運好調
 「珍しいこと尽くしだなぁ、今日は」
  着替えを済ませて戻ってきた主は気怠そうな探偵の様に意外そうな目的で呟いた。

 だ、そうな(爆笑)
 ちょ…る、瑠果たん…アナタ反転した部分拾っちゃだめでしょうが∑(//□//)
 ひー…この前日記に唐突に草稿落っことした京榎一部から更に不思議な引っこ抜き方されました(汗)
 意外そうな目的で呟くって…どんな目的なのよ。



 ――そんなこんなで。
 え゛ー…とですね。あぁ、風邪がぶりかえしたんだか何だか…とりあえず体調不良な状態からは脱出しました。そんで今現在猛烈に『邪魅の雫』を読み進めております。えぇ、あっという間に残り1/4までたどり着きました。面白くって止まりません……!!
 寝る前とか危険ですねしかも。
 つい5時近くまで読み耽ってしまいました(苦笑)

 あ゛ー…いい!! 前置きがいつも以上に長くって(今「異常」って変換されてしまったのに日本語として辻褄が合う文について笑ってしまった(え゛))、メインキャラのやりとりがなかなか出てこなくってとっても前半焦れったかったのですが『邪魅の雫』いい!!
 らしくない探偵が超萌え。
 この勢いで読み進めて、京榎書くぞーと張り切ってます。
 ほんともう探偵のらしくなさぶりが、周囲をいろいろ巻き込んでて素敵。益田くんとかしょげちゃって滅入っちゃっててもうほんと愛しいくらいステキ。
 読み終わったらもっかい『塗仏の宴 宴の始末』読み返したくなりました。
 あの京極堂のらしくなさっぷりも萌えた。
 榎木津さんに責められて、らしくなく非常にへたれな京極堂が萌えだった(笑)

 らしくないことしてる人ってほんとへたれでツボ。


 昨日はとーとつにカレンダ作ってました(笑)
 家計簿とか管理する上で、余計な買い物とか食費平均とか書き出しておこうと思って、最初オルビスのオマケできたやつがサイズも丁度いいかなと思ったのですが縦の罫線がないのがネックで、でもわざわざ買うのもなーと思って、いいや自分でつくっちゃえーとWordでカタカタ作ってました。
 シンプルですが、フォントは[GauFontPopMagic]を使ってかわいいかんじに仕上がってます。
 でっかくA4横サイズで作ってみました。ちなみにこんなカンジです。

 

 もし自分用のシンプルなカレンダ欲しいなんて方がいらしたらメルなりコメントフォームなりで御連絡いただければデータを差し上げますので御一報を。
 ちょーシンプルです。
 無駄にでかいしね(笑)
 ちっさいのがよければ2面付け印刷にかけると丁度よいかんじです(A5サイズですし)。
 仕事の予定とかがつがつ書き込んで使うならA4って割といい気がします。


 そーれから。
 実は昨日とんでもないことが仕事で起きまして。
 真壁は2学期になって度々――というか教室長退いてからしばしば「投げちゃいけなかったんだろうなぁ」という幾許かの自責の念というか罪悪感ともつかない背徳さを覚える機会があったのですが、昨日ほどその遣り場のない後悔というか罪悪感ともつかない背徳さというかに付き纏われたことはありませんでした。

 詳細はこっちじやなくて裏日記に書きますが。
 あ゛ぁ、もう…真壁がやったことじゃないんだが、投げたことに対する幾許かの罪悪感が如何ともし難く付き纏ってきて――要するに、関口さんじゃないですが「重い」んだな。多分。いろんなシガラミが。


 明日は秩父夜祭です。
 浅見光彦の面影を求めて行って見たい気もするのですが交通費もバカにならんし遠いし寒いしで諦めモード。
 あ゛ー…行ってみたい。
 埼玉テレビでやらんのかな(微妙……) 

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2006/10/31 (Tue) 02:03:49
 もうだめ…堪んないよ今回!!
 何ですか、この…探偵と本屋のらぶらぶっぷりは(爆)。どうしちゃったんですか今回のお二人。
 今回は何だかいつにも増して、萌えるシーンまでの道程が遠く。
 その道程の遠さについ、美味しそうな場面をぱらぱら探してつまみ食いしていたらまた美味しいところに出くわしてしまいました。


 この間唆されたお礼だとか言ってるし!!
 榎木津に辛い言葉を云わせたくなかったから来たって……!!


 ちょ、待って…うん。
 何で最近こんなにお気に入り作品の好きCP(コンビ含む)の仲良しっぷりがクリーンヒットなんでしょう。
 何ですかこの探偵と本屋。
 ってか本屋!
 京極堂!!
 しれっとすごい台詞口にしないで下サイ。
 大っ好きじゃないですかアナタ。探偵のこと。読んでる側がじたばたしちゃうよ(勝手にしてなさいよ)。

 真壁は妖怪シリーズで強いて好きCPを上げるなら榎京派です。
 メンタルならリバでもいいと思うこの二人(笑)。
 そんで若気の至りで一度くらいアヤマチを犯していたら面白いと思う(おい待て)。そしてそのことがあるからお互いがお互いに勝てないとかだとなおいいと思う(アンタだけだってそんな偏った趣向は……)。
 共感者求む!!(多分いないよ(←解ってる))。

 あ゛ー…もう。
 遅筆じゃなくて、単に――そして異様に原稿量が多いだけなんだろうな京極さんは。
 いい仕事してくれます、ほんと。
 百器徒然袋の新作も早く書いてくれないかなー。
 
  
 
 そんなこんなでオリジプロットと戦いながら『邪魅の雫』読んでます。
 当分読み終わりそうに在りません。
 Gyaoのアニメchで旧ルパンが始まってうはうはしてます。早速今週分見ました。
 旧ル!
 青ジャケ!!
 いいね…ルパンの声がまだなんかぎこちなくって、でもやっぱりカッコ良くって。
 ビバップのDVDが全部欲しくなった。
 あ゛ー…時間ができると収入が減ってても浪費したくなる。
 来月は家計簿とかまた付け出して、生活費を考えつつ検討したいところです。
 貯金を切り崩さなくても生活できるようにしないと。

 給与明細が気になる今日この頃。 
 
 

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