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真壁華夜がその日・その時感じたことや考えたことの整理或いは備忘録的に使われることもあれば萌えメモとして使われることもあるし、日常の愚痴をこぼしていることもあるかと思います。基本的に偏屈な管理人sが綴っているのでその辺を許容できる人向け。反感買いそうなものは裏日記に書くようにしています。
2008/01/19 (Sat)
02:49:20
離れていたあの時間を、遡って埋めることが出来たなら。
【冬の陽だまり】
いつものように仏頂面で、彼は座卓に広げた和綴じの本に目を落としていた。
しかし頬杖を突いたその姿は何処か眠そうで、睡魔に意識を乗っ取られそうになるのを辛うじて堪えているようにも見える。
その所為か、今日は反応が薄かった。
「おぉ寒い! 北風はなんて冷たいんだッ!!」
玄関からではなく庭に回り込んで奥座敷に直接出向く。
冬場は流石に外廊下側の硝子障子が閉ざされているので縁側で靴を脱ぐと思い切りそれを開け放って挨拶代わりにそう口にした。
けれど――…
「だったら早く中に入ってそこを閉めればいいでしょう。折角温まった部屋まで冷えてしまう」
いつもの位置に見当たらないと思ったら、どうしたことか座っている場所も床の間を背にした定位置ではない。縁側から射し込んだ陽の当たる陽だまりに身を置いている。
何だか調子が狂うじゃないか。
声には出さずに呟いて、言われるまま襖を閉めて座敷に上がる。
何か気に触ることでもしただろうか。
心当たりを探すように主の仏頂面を凝視してみるがこれといって思い当たる節もない。
「何だい?」
「それはこっちの科白だ」
「意味が解らないよ」
「そこはお前の場所じゃないだろう?」
「僕の家で僕が何処に座ろうがそんなことは僕の勝手でしょう?」
「じゃあ僕も勝手に座るだけだ」
「あんたはいつだって勝手に上がり込んで勝手に振舞うことしかしないじゃないか」
「……言葉に棘が多いぞ今日は」
いつもは不機嫌そうに見えるだけだが今日は本当に機嫌が悪いように見えた。
凝乎と見据えて返答を待つと、口を開きかけて中禅寺は不意に顔を歪めて右手でこめかみを押さえ黙り込む。
「具合でも悪いのか?」
「いや、そういうわけじゃないよ」
「でも機嫌悪いだろ?」
「そんなことはないよ」
「稚拙な嘘を吐くなんてらしくもない。僕が気付いてないとでも思ってるのか? お前、機嫌が悪いと相手に視線を向けないだろ」
「…………」
「だから誤魔化そうとしても無駄だッ!」
場違いに快活に言ってのけると榎木津は、自分にとってのいつもの場所――今日は中禅寺が座っている日向に座り込んだ。
深い溜息が吐き出される。
主は諦めたように、漸く口を開いて白状した。
「――…昨日」
「ん?」
「実は、殆ど眠ってない」
「何かあったのか?」
「別に。ただ……」
「ただ?」
「夢見が悪かっただけ、ですよ。とても二度寝する気にはなれなくて、結局そのまま起きてしまった」
眠気を堪えるように顔を顰めて何度か瞬きを繰り返す。
ひどく、ひどく――眠そうだった。
「だったら昼寝でも何でもすればいい」
「……眠りたくないんですよ、生憎」
「こんな陽あたりのいい場所にいてか?」
「寒かったんですよ、いつもの場所が」
視線を逸らすように、床の間を背にした彼の定位置に目を向ける。
確かにその場所までは陽が射し込まないけれど――それも言訳だろう。
それを指摘しようとして――ふと、視界の隅を見覚えのある――自分にとっても忌忌しい顔が掠めた。
何となく、頑なな態度の理由を察してそれ以上は尋かないことにする。
「強情だなぁ、まったく」
代わりに小さく苦笑して、ずっと顔を隠していた右手を掴んで引き剥がすと驚いたようにこちらを見たその視線を躱すように額に軽く口付けた。そして髪をくしゃっと掻き回して笑いかける。
「とっておきの悪夢払いだ」
そう云うと、困ったように淡うだけで中禅寺はいつものように強く咎めたりはしなかった。
「お前が寝ようと意地を張って起きていようと僕はここにいるだけだ」
突き放すでもなく、諭すでもなくそう告げて榎木津は縁側に視線を遣る。
「あぁ、ふゆのひだまりだなぁ…この場所は。今のお前が勝てるとは思えない」
北風が庭木を揺らす。
静かだった。
冬の気配を切り貼りしたような窓の外の景色。
射し込む陽はただ温かく、二人に穏やかな時間を提供する。
目を閉じた。
ただ、気配だけを感じてみる。
この場所はいつも優しくて、安らかで。穏やかな眠りを約束してくれるからこうして求めに来てしまう。
或いは、その空気を感じたくていつもここに来るのかもしれない。
そんなことを思う。
「――…ん?」
肩に、不意に預けられた体重。
振り返ると。
自分の肩に凭れて穏やかな顔で、規則的で穏やかな寝息を立てる古書肆がいた。
「ふゆのひだまりにも鬼を眠らせる力があるらしいな」
起こさないように小声でそんなことをこぼし、榎木津は襟足から覗く項にそっと口付けを落とした。
離れていたあの時間を、遡って埋めることが出来たなら。
不毛なことを、そうと知りながらどうしても思ってしまう。
今もまだ、彼の中の奥深くにひっそりと息づき痛みと翳りを落とし続けている時間を、上書きする術があれば。
何度そんなことを願っただろう。
けれどそんな術を持たない自分には、こうして束の間――その場凌ぎの平穏を残してやることしか出来ない。
それを――…
「もどかしいって…思うのは僕の驕りなんだろうか」
それでも温もりを、優しさを、癒しになる何かを、少しでも分け与えたくて。
自分も、彼に凭れるように少しだけ体重を預けてみた。
預けられている心地良い重さ。
ひどくシアワセな負荷。
彼にとってもそうであればいい。
気を許しきっている古書肆は今、穏やかな夢の最中にいるのだろうか。
そこに自分があることを望まないわけではないけれど。
ただ。
この、冬の陽だまりの中で。
悪夢に苛まれた記憶が遠のけばいいと。
願って、傍らで彼の齎すシアワセな負荷を受け止めた。
自分にとってはこの時間こそが、冬の陽だまりのように思えた。
――THE END――
●早かったなぁ今回(笑)。
勢いって大切ですねぇ……。
いやぁ、さっき書き終わったところです。
書き始めたのは確か…16日の夜中? 17日の昼間?
確かその辺。
脱稿はついさっき(26時ちょい過ぎくらい)。
そんなこんなで榎京の新作【冬の陽だまり】脱稿です。
素敵イラストを頂いたお礼に。
サイトへupするときは、先方の了承がいただければ頂戴したイラを挿絵に使わせていただきたいと思っています。
もうほんと素敵…萌えイラです。
とりあえず小説だけ、ブログに先行upしておきます。畳んでおくのでよろしければどうぞ♪
●まだ姑獲鳥再読中。
でも随分残りが少なくなりました。頑張ってる。
明日は14時からコマが入っているのであんましのんびり朝飯食えないので夜ですね……。
最近はニコ動で獲得した音源をBGMにひたすら姑獲鳥を読みながら御飯食べてます。お行儀が悪いです。箸使いが左手のが上手い気がします。でも片手で本読むときは左手のが読みやすいんです…な、なぜだ。真壁の利き手は右のハズだ!!
●今日の夕飯はミートボール・スパゲティ。某カリ城でルパンが次元と取り合いをしていたあのメニューです。レシピはないのでとりあえずミートボールでナポリタン(と言っても味付け今回手抜きでケチャップとミートボールのたれ(?)とコショウとバジルですが)作っただけなんですが。
まぁまぁでした。
可もなく不可もなく。
●最近アンインストールを聞いているんですが、どうしても「ア~ニソン♪ ア~ニソン♪♪」って聞こえるorz
鳥の歌、カラオケで歌ってみたいがえっらいむちゃくちゃな歌詞の乗っけ方だなぁと思った。リズムと歌詞の切れ目をもーすこし考えた方がいいんじゃあないかと思うが曲はいいですね。
来週月曜日に実家に帰るので、火曜日は妹と恒例のアニカラです。思う存分アニソンを歌うカラオケ。
きっと妹はテニミュをずっと自分のターンで歌うに違いない(笑)
●ジョイサウンドで『三日月の夜』配信決定だそうですね。2月中旬からだそうで。
楽しみです。
でも真壁は三日月の夜あんま好きじゃなかったりする(´∀`)
常夜灯よりは好きかなぁ…う~ん、どうだろ。歌うなら常夜灯のが好きかな。でも歌ってて盛り上がりがあるのはいいですよね……。
早くwonderingが配信されるといいなぁ…E・Oの次に好き。
勢いって大切ですねぇ……。
いやぁ、さっき書き終わったところです。
書き始めたのは確か…16日の夜中? 17日の昼間?
確かその辺。
脱稿はついさっき(26時ちょい過ぎくらい)。
そんなこんなで榎京の新作【冬の陽だまり】脱稿です。
素敵イラストを頂いたお礼に。
サイトへupするときは、先方の了承がいただければ頂戴したイラを挿絵に使わせていただきたいと思っています。
もうほんと素敵…萌えイラです。
とりあえず小説だけ、ブログに先行upしておきます。畳んでおくのでよろしければどうぞ♪
●まだ姑獲鳥再読中。
でも随分残りが少なくなりました。頑張ってる。
明日は14時からコマが入っているのであんましのんびり朝飯食えないので夜ですね……。
最近はニコ動で獲得した音源をBGMにひたすら姑獲鳥を読みながら御飯食べてます。お行儀が悪いです。箸使いが左手のが上手い気がします。でも片手で本読むときは左手のが読みやすいんです…な、なぜだ。真壁の利き手は右のハズだ!!
●今日の夕飯はミートボール・スパゲティ。某カリ城でルパンが次元と取り合いをしていたあのメニューです。レシピはないのでとりあえずミートボールでナポリタン(と言っても味付け今回手抜きでケチャップとミートボールのたれ(?)とコショウとバジルですが)作っただけなんですが。
まぁまぁでした。
可もなく不可もなく。
●最近アンインストールを聞いているんですが、どうしても「ア~ニソン♪ ア~ニソン♪♪」って聞こえるorz
鳥の歌、カラオケで歌ってみたいがえっらいむちゃくちゃな歌詞の乗っけ方だなぁと思った。リズムと歌詞の切れ目をもーすこし考えた方がいいんじゃあないかと思うが曲はいいですね。
来週月曜日に実家に帰るので、火曜日は妹と恒例のアニカラです。思う存分アニソンを歌うカラオケ。
きっと妹はテニミュをずっと自分のターンで歌うに違いない(笑)
●ジョイサウンドで『三日月の夜』配信決定だそうですね。2月中旬からだそうで。
楽しみです。
でも真壁は三日月の夜あんま好きじゃなかったりする(´∀`)
常夜灯よりは好きかなぁ…う~ん、どうだろ。歌うなら常夜灯のが好きかな。でも歌ってて盛り上がりがあるのはいいですよね……。
早くwonderingが配信されるといいなぁ…E・Oの次に好き。
離れていたあの時間を、遡って埋めることが出来たなら。
【冬の陽だまり】
いつものように仏頂面で、彼は座卓に広げた和綴じの本に目を落としていた。
しかし頬杖を突いたその姿は何処か眠そうで、睡魔に意識を乗っ取られそうになるのを辛うじて堪えているようにも見える。
その所為か、今日は反応が薄かった。
「おぉ寒い! 北風はなんて冷たいんだッ!!」
玄関からではなく庭に回り込んで奥座敷に直接出向く。
冬場は流石に外廊下側の硝子障子が閉ざされているので縁側で靴を脱ぐと思い切りそれを開け放って挨拶代わりにそう口にした。
けれど――…
「だったら早く中に入ってそこを閉めればいいでしょう。折角温まった部屋まで冷えてしまう」
いつもの位置に見当たらないと思ったら、どうしたことか座っている場所も床の間を背にした定位置ではない。縁側から射し込んだ陽の当たる陽だまりに身を置いている。
何だか調子が狂うじゃないか。
声には出さずに呟いて、言われるまま襖を閉めて座敷に上がる。
何か気に触ることでもしただろうか。
心当たりを探すように主の仏頂面を凝視してみるがこれといって思い当たる節もない。
「何だい?」
「それはこっちの科白だ」
「意味が解らないよ」
「そこはお前の場所じゃないだろう?」
「僕の家で僕が何処に座ろうがそんなことは僕の勝手でしょう?」
「じゃあ僕も勝手に座るだけだ」
「あんたはいつだって勝手に上がり込んで勝手に振舞うことしかしないじゃないか」
「……言葉に棘が多いぞ今日は」
いつもは不機嫌そうに見えるだけだが今日は本当に機嫌が悪いように見えた。
凝乎と見据えて返答を待つと、口を開きかけて中禅寺は不意に顔を歪めて右手でこめかみを押さえ黙り込む。
「具合でも悪いのか?」
「いや、そういうわけじゃないよ」
「でも機嫌悪いだろ?」
「そんなことはないよ」
「稚拙な嘘を吐くなんてらしくもない。僕が気付いてないとでも思ってるのか? お前、機嫌が悪いと相手に視線を向けないだろ」
「…………」
「だから誤魔化そうとしても無駄だッ!」
場違いに快活に言ってのけると榎木津は、自分にとってのいつもの場所――今日は中禅寺が座っている日向に座り込んだ。
深い溜息が吐き出される。
主は諦めたように、漸く口を開いて白状した。
「――…昨日」
「ん?」
「実は、殆ど眠ってない」
「何かあったのか?」
「別に。ただ……」
「ただ?」
「夢見が悪かっただけ、ですよ。とても二度寝する気にはなれなくて、結局そのまま起きてしまった」
眠気を堪えるように顔を顰めて何度か瞬きを繰り返す。
ひどく、ひどく――眠そうだった。
「だったら昼寝でも何でもすればいい」
「……眠りたくないんですよ、生憎」
「こんな陽あたりのいい場所にいてか?」
「寒かったんですよ、いつもの場所が」
視線を逸らすように、床の間を背にした彼の定位置に目を向ける。
確かにその場所までは陽が射し込まないけれど――それも言訳だろう。
それを指摘しようとして――ふと、視界の隅を見覚えのある――自分にとっても忌忌しい顔が掠めた。
何となく、頑なな態度の理由を察してそれ以上は尋かないことにする。
「強情だなぁ、まったく」
代わりに小さく苦笑して、ずっと顔を隠していた右手を掴んで引き剥がすと驚いたようにこちらを見たその視線を躱すように額に軽く口付けた。そして髪をくしゃっと掻き回して笑いかける。
「とっておきの悪夢払いだ」
そう云うと、困ったように淡うだけで中禅寺はいつものように強く咎めたりはしなかった。
「お前が寝ようと意地を張って起きていようと僕はここにいるだけだ」
突き放すでもなく、諭すでもなくそう告げて榎木津は縁側に視線を遣る。
「あぁ、ふゆのひだまりだなぁ…この場所は。今のお前が勝てるとは思えない」
北風が庭木を揺らす。
静かだった。
冬の気配を切り貼りしたような窓の外の景色。
射し込む陽はただ温かく、二人に穏やかな時間を提供する。
目を閉じた。
ただ、気配だけを感じてみる。
この場所はいつも優しくて、安らかで。穏やかな眠りを約束してくれるからこうして求めに来てしまう。
或いは、その空気を感じたくていつもここに来るのかもしれない。
そんなことを思う。
「――…ん?」
肩に、不意に預けられた体重。
振り返ると。
自分の肩に凭れて穏やかな顔で、規則的で穏やかな寝息を立てる古書肆がいた。
「ふゆのひだまりにも鬼を眠らせる力があるらしいな」
起こさないように小声でそんなことをこぼし、榎木津は襟足から覗く項にそっと口付けを落とした。
離れていたあの時間を、遡って埋めることが出来たなら。
不毛なことを、そうと知りながらどうしても思ってしまう。
今もまだ、彼の中の奥深くにひっそりと息づき痛みと翳りを落とし続けている時間を、上書きする術があれば。
何度そんなことを願っただろう。
けれどそんな術を持たない自分には、こうして束の間――その場凌ぎの平穏を残してやることしか出来ない。
それを――…
「もどかしいって…思うのは僕の驕りなんだろうか」
それでも温もりを、優しさを、癒しになる何かを、少しでも分け与えたくて。
自分も、彼に凭れるように少しだけ体重を預けてみた。
預けられている心地良い重さ。
ひどくシアワセな負荷。
彼にとってもそうであればいい。
気を許しきっている古書肆は今、穏やかな夢の最中にいるのだろうか。
そこに自分があることを望まないわけではないけれど。
ただ。
この、冬の陽だまりの中で。
悪夢に苛まれた記憶が遠のけばいいと。
願って、傍らで彼の齎すシアワセな負荷を受け止めた。
自分にとってはこの時間こそが、冬の陽だまりのように思えた。
――THE END――
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