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真壁華夜がその日・その時感じたことや考えたことの整理或いは備忘録的に使われることもあれば萌えメモとして使われることもあるし、日常の愚痴をこぼしていることもあるかと思います。基本的に偏屈な管理人sが綴っているのでその辺を許容できる人向け。反感買いそうなものは裏日記に書くようにしています。
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2010/05/29 (Sat) 00:47:43
 中禅寺の手許を覗き込んでいた郷嶋は、一通り目を通し終えて漸くこれだけを口にした。
「何だ、これは……?」
 呆れて物が云えない。
 他に表現のしようがなかった。
「極秘が聞いて呆れるな、まったく」
「――下らない」
 殺気にも似た空気を立ち上らせて、中禅寺は低く吐き捨てる。その声の冷たさに、一瞬鳥肌が立った。
「おい…中禅寺?」
「最近、此方に来ても部屋に篭っているばかりでそれはそれで邪魔はされないから放っておいたが真逆こんな下らないことに時間を費やしていたなんて日本の未来は明るくないね」
「しかし何だ? これは」
「ただの可燃物だよ」
「…………」
「あんた、ほんとあの人には遠慮がないな」
「する必要が何処にあるというんだい?」
「肩書き辺りにあるんじゃないのか? 中禅寺少尉」
「こんな辺鄙な閉鎖空間で、肩書きも何もあったものじゃないよ」
「まぁ…否定はしないがな」
 庇うほどの義理があるわけでもないので郷嶋の言葉も容赦がない。
「あ、おい」
 手渡した遺失物を小脇に抱えたまま踵を返す中禅寺を呼び止める。
「如何するんだよ。あんた、何処に行く心算だ」
「焼却炉だが」何か、問題でも?
 肩越しに振り返ったその顔は、その言葉の先に「冗談だ」と笑って流すという展開がかなり見込みの低い未来であることを直感させる。
「俺の知ったことじゃあないな」
 諦めてその後に従った。  
「ベタだけど有り得ない展開ってのもあるもんだな」
「それはあるよ。この世界はね、起こるべきことしか起こらないのさ。この世には――不思議なことなど何もないのだからね」
「慥かにな」
 小豆色の煩悩を火で以て浄化せんと、焼却炉へと向かう跫が二人分。
 そしてそれから数日の間、堂島大佐が何かを必死に探している姿が十二研の彼方此方で目撃されたというが、探し物の正体を知るものは一人としていないようだった。
 

(了)
備考>昨年のオンリ(=眩暈坂上2nd)での無配本。このために、ブクロの和紙専門店でA3で50枚2000円近い小豆色の紙を表紙用に買ってきました。自分馬鹿だと思った。だがネタにしてこそ価値がある。

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