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真壁華夜がその日・その時感じたことや考えたことの整理或いは備忘録的に使われることもあれば萌えメモとして使われることもあるし、日常の愚痴をこぼしていることもあるかと思います。基本的に偏屈な管理人sが綴っているのでその辺を許容できる人向け。反感買いそうなものは裏日記に書くようにしています。
2009/05/23 (Sat)
12:13:32
●5話で終わると思った自分が甘かった……。
全7話くらいかなぁ(謎)
全7話くらいかなぁ(謎)
-------------------
[05]
-------------------
都筑が見つかった日の翌日。
閻魔庁に一時帰還した亘理と密を迎え、近衛が会議室に現れたのを機に巽り仕切りで捜査会議は始まった。
「都筑さんが長崎の教会で発見されたのは昨日お知らせした通りです」
「――そんで、都筑はどないしてん。まさか、まだ目ぇ覚まさへんの?」
空席に、亘理と密の視線が向く。
「いえ、昨日の夜に一度目を覚ましたんですが…どうも、混乱しているようですね。本人が大丈夫だと言い張るので自宅に帰しましたが……」
それきりです。
無関心そうに答えて眼鏡を直す。
嘘というわけではない。伏せられた事実は多分にあるが、それに気付く者もいない。
「相変わらずやなぁ、お前は」
「それは…褒め言葉として聞いておきましょう」
冷たい視線に射竦められて亘理の表情が一瞬凍り付いた。
「とにかく、そちらから先に報告をどうぞ」
促されて密が口を開く。
鹿児島で感じたのと同じ気配を大分の現場でも感じたけれど、それが何なのかは未だに思い出せないとのことだった。
他にも、進展に繋がるかもしれない情報がいくつか。
「まだ、情報が出揃わんようだな」
「そのようですね」
「都筑からの報告も待たねばならんか」
まだ現れない都筑が今のところ捜査の方針を決める鍵を握っていると思われている。
「亘理と黒崎君は捜査を続行してくれ。巽、お前は都筑の様子を確認してから動けるようなら二人で現場に向かえ。無理なようなら都筑の代わりを頼む」
「解りました」
「なら以上だ。それぞれ持ち場に向かってくれ」
近衛が先に部屋を出る。
残った三人の死神は、結局現れなかった都筑の席に視線を向けた。
「あの人の失踪と事件の真相が関係あるのかどうか、判らないなりに動くしかありませんね」
「そうやな」
「とにかく、そちらはお任せしましたよ」
「巽、お前はどうすんねん」
「どうするも何も、課長の指示に従うだけですよ。――ほら、時間の無駄ですから油売ってる暇があったら情報を稼いで来て下さい」
追い払うように口にすると、歩き出した亘理の後を追いながらも何か言いたそうに振り返る密の視線に気付いたけれど、気付かない振りをして会議室を片付ける。
精神感応を生来の能力として持っている、彼が一番遣り難い。
「悪足掻きとはまさにこのことですね」
自嘲して、巽も遅れて会議室を出た。
そのまま閻魔庁を辞し、真っ直ぐ、都筑の家に向かう。
突然切り出された別れ。
予感を、肯定するような態度。
あんなに傷付いた顔をして、どうして更に自分を追い込むような状況を作ろうとするのだろうかと考える。
巽自身も考えたくはなかった。
けれど、恐らくそれが事実なのだろうと――ほとんど確信めいた予測が脳にちらつく。
花壇には、都筑が世話をしている花が今日も溢れていた。
それを横目に玄関に回り込んで、再び扉をノックする。
「都筑さん、いるんでしょう? 入りますよ」
もらった合鍵を使って中に入った。
そして――異変に、気付いた。
影で確認するまでもない。
殺伐とした空気。嫌な予感を増幅させる、沈黙。
「都筑さん?」
逸る気持ちを抑えて靴を脱ぎ、奥の部屋へと踏み込んだ。
こうなることを、一番恐れていたのはきっと自分だと巽は思う。
あの日の後悔に似た、躊躇が、この目で確かめることを恐れていた。
物がひどく散乱し、あちこちに、血痕が生々しく残る。
部屋の隅で、放心したように――けれど、小刻みに震えながら泣いている痛々しい姿。
「都筑さん……」
こんな彼の姿は二度と見たくないと思った。
受け止め支えられるほど強くなかった過去の自分は、更に傷付けて逃げることしか出来なかった。
その罪の深さを思い知る。
ゆっくりと近付いてただ抱き締めた。
「貴方を、傷付けた罪は償いましょう。あの男にも――償わせてやらなければなりませんね」
言葉に反してひどく優しい顔で巽は紡ぐ。
「本当に貴方が望むのなら、それで貴方が少しでも救われるなら…私は別れても構いません」
でも。
その前に。
「邑輝医師にはきっちりと、この事件のカタを付けていただきましょう」
触れるだけの口付け。
少しでも、何かが届けば良い。
「だからお願いです。これ以上…自分を傷付けるような真似をなさらないで下さい。そして私が戻るまで、自分で命を絶つような真似だけはしないで下さい」
耳元で囁いて。
巽はそこから姿を消した。
自宅に戻って邑輝の居場所を検索する。ずっと失念していた手がかり。都筑の携帯のGPS発信地を探る。
まるで来訪を待っているかのように、それは在り処を告げていた。
「あの医者ならやりそうな手口ですね」
待ち伏せるように餌を撒き、こちらの出方を伺っている。
「小賢しい真似を」
冷笑とともに呟いて、巽は家を後にし現場に急行した。
瀟洒な外観の古びた洋館。まったく忌々しいことこの上ない。
「ようこそ、空いていますよ」
門前に立つ巽を招くように門が開いた。
躊躇もなく、巽は中へと入る。
屋敷全体を影でスキャンすれば、邑輝の居所はすぐに判明した。
「どうやら、二階にいるようですね」
影の空間を渡ってその部屋へ。
主は、回転椅子にゆったりと腰掛けて慌てた様子もなく来客を迎え入れる。
「はじめまして――と申し上げておくのが筋でしょうか」
「構いませんよ。貴方と友好関係を築けるとは思えませんからね、ドクター」
ぴりぴりと肌で感じられるほどの、緊張感。
一触即発、という状態を再現するとこんな状態になるのかも知れない。
「あの人の体に刻んだメッセージが、どうやら伝わったようですね」
「こんな回りくどいことをなさらなくても、お招きいただければ伺いますよ」
「それは失敬。憶えておきましょう」
言葉の応酬。
不毛だが、楽しんでさえいる表情で続ける。
「巽さん――でしたか」
「まったく、私の名前まで御存知とは…つくづく呆れた人ですね」
「貴方が何故ここにいらしたのか――理由はいくつかおありなのでしょうけれど」
反応を確かめるような視線。
しかし、巽は眉一つ動かさず邑輝と対峙している。
「そうですね、例えば都筑さんの傷に義憤を感じた…なんていうのもあるかもしれません。でも、貴方は都筑さんの痛みを解ったと思い込んでいるに過ぎないんです。――何故って、貴方と都筑さんは異質な存在だからですよ。背負っているものがまるで違う」
滔々と言葉は紡がれ出した。
執拗なまでに都筑に固執する、その理由の片鱗を語っているようにも聞こえる。
「人間関係なんて所詮、勘違いの産物でしかない。理解出来たという思い込み、解り合えた振り、同じ想いだという希望的観測。そんなものに騙されながら形成されているものがほとんどです」
「興味深い考察ですね」
「同じものを持たないものに、その本当の重さは解りません。――巽さん、貴方もそうでしょう? 都筑さんの痛みを解ったと思い込んで、それを癒そうと願ったことがおありかもしませんが――貴方と都筑さんでは背負っているものがまるで違う」
「貴方も、そう思い込んでいらっしゃるわけですね」
ささやかな皮肉にほんの僅か反応を見せて、邑輝は唇の端で小さく笑った。
「私も都筑さんも、原罪を持って生まれた存在です。そういう意味ではあの坊やの方がまだ、貴方より都筑さんに近い。あの人の痛みを本当に理解できる存在になれる素養はあると言えましょう」
溜息。
邑輝の言葉がそれを機に、止む。
「おっしゃりたいことはそれだけですか?」
「何?」
「いろいろと興味深いお話でしたが…生憎、私は都筑さんほど素直ではありませんのでね。揺さ振りを掛けたいお気持ちはお察ししますが――時間の無駄です。私の結論は変わりません」
「そうですか、それは残念」
「都筑さんを傷付け続ける貴方には、然るべき代償の支払いを求めます」
絶対に、許さない。
深く、ココロに決め誓う。
あの人が負った傷の代償を。
守れなかった自分の甘さの償いを。
そして、彼に――都筑に平穏を。
その隣に、自分が在ることが叶わなくても。
「始めましょうか、ドクター」
冷たい声が開戦を告げた。
to be continued......
[05]
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都筑が見つかった日の翌日。
閻魔庁に一時帰還した亘理と密を迎え、近衛が会議室に現れたのを機に巽り仕切りで捜査会議は始まった。
「都筑さんが長崎の教会で発見されたのは昨日お知らせした通りです」
「――そんで、都筑はどないしてん。まさか、まだ目ぇ覚まさへんの?」
空席に、亘理と密の視線が向く。
「いえ、昨日の夜に一度目を覚ましたんですが…どうも、混乱しているようですね。本人が大丈夫だと言い張るので自宅に帰しましたが……」
それきりです。
無関心そうに答えて眼鏡を直す。
嘘というわけではない。伏せられた事実は多分にあるが、それに気付く者もいない。
「相変わらずやなぁ、お前は」
「それは…褒め言葉として聞いておきましょう」
冷たい視線に射竦められて亘理の表情が一瞬凍り付いた。
「とにかく、そちらから先に報告をどうぞ」
促されて密が口を開く。
鹿児島で感じたのと同じ気配を大分の現場でも感じたけれど、それが何なのかは未だに思い出せないとのことだった。
他にも、進展に繋がるかもしれない情報がいくつか。
「まだ、情報が出揃わんようだな」
「そのようですね」
「都筑からの報告も待たねばならんか」
まだ現れない都筑が今のところ捜査の方針を決める鍵を握っていると思われている。
「亘理と黒崎君は捜査を続行してくれ。巽、お前は都筑の様子を確認してから動けるようなら二人で現場に向かえ。無理なようなら都筑の代わりを頼む」
「解りました」
「なら以上だ。それぞれ持ち場に向かってくれ」
近衛が先に部屋を出る。
残った三人の死神は、結局現れなかった都筑の席に視線を向けた。
「あの人の失踪と事件の真相が関係あるのかどうか、判らないなりに動くしかありませんね」
「そうやな」
「とにかく、そちらはお任せしましたよ」
「巽、お前はどうすんねん」
「どうするも何も、課長の指示に従うだけですよ。――ほら、時間の無駄ですから油売ってる暇があったら情報を稼いで来て下さい」
追い払うように口にすると、歩き出した亘理の後を追いながらも何か言いたそうに振り返る密の視線に気付いたけれど、気付かない振りをして会議室を片付ける。
精神感応を生来の能力として持っている、彼が一番遣り難い。
「悪足掻きとはまさにこのことですね」
自嘲して、巽も遅れて会議室を出た。
そのまま閻魔庁を辞し、真っ直ぐ、都筑の家に向かう。
突然切り出された別れ。
予感を、肯定するような態度。
あんなに傷付いた顔をして、どうして更に自分を追い込むような状況を作ろうとするのだろうかと考える。
巽自身も考えたくはなかった。
けれど、恐らくそれが事実なのだろうと――ほとんど確信めいた予測が脳にちらつく。
花壇には、都筑が世話をしている花が今日も溢れていた。
それを横目に玄関に回り込んで、再び扉をノックする。
「都筑さん、いるんでしょう? 入りますよ」
もらった合鍵を使って中に入った。
そして――異変に、気付いた。
影で確認するまでもない。
殺伐とした空気。嫌な予感を増幅させる、沈黙。
「都筑さん?」
逸る気持ちを抑えて靴を脱ぎ、奥の部屋へと踏み込んだ。
こうなることを、一番恐れていたのはきっと自分だと巽は思う。
あの日の後悔に似た、躊躇が、この目で確かめることを恐れていた。
物がひどく散乱し、あちこちに、血痕が生々しく残る。
部屋の隅で、放心したように――けれど、小刻みに震えながら泣いている痛々しい姿。
「都筑さん……」
こんな彼の姿は二度と見たくないと思った。
受け止め支えられるほど強くなかった過去の自分は、更に傷付けて逃げることしか出来なかった。
その罪の深さを思い知る。
ゆっくりと近付いてただ抱き締めた。
「貴方を、傷付けた罪は償いましょう。あの男にも――償わせてやらなければなりませんね」
言葉に反してひどく優しい顔で巽は紡ぐ。
「本当に貴方が望むのなら、それで貴方が少しでも救われるなら…私は別れても構いません」
でも。
その前に。
「邑輝医師にはきっちりと、この事件のカタを付けていただきましょう」
触れるだけの口付け。
少しでも、何かが届けば良い。
「だからお願いです。これ以上…自分を傷付けるような真似をなさらないで下さい。そして私が戻るまで、自分で命を絶つような真似だけはしないで下さい」
耳元で囁いて。
巽はそこから姿を消した。
自宅に戻って邑輝の居場所を検索する。ずっと失念していた手がかり。都筑の携帯のGPS発信地を探る。
まるで来訪を待っているかのように、それは在り処を告げていた。
「あの医者ならやりそうな手口ですね」
待ち伏せるように餌を撒き、こちらの出方を伺っている。
「小賢しい真似を」
冷笑とともに呟いて、巽は家を後にし現場に急行した。
瀟洒な外観の古びた洋館。まったく忌々しいことこの上ない。
「ようこそ、空いていますよ」
門前に立つ巽を招くように門が開いた。
躊躇もなく、巽は中へと入る。
屋敷全体を影でスキャンすれば、邑輝の居所はすぐに判明した。
「どうやら、二階にいるようですね」
影の空間を渡ってその部屋へ。
主は、回転椅子にゆったりと腰掛けて慌てた様子もなく来客を迎え入れる。
「はじめまして――と申し上げておくのが筋でしょうか」
「構いませんよ。貴方と友好関係を築けるとは思えませんからね、ドクター」
ぴりぴりと肌で感じられるほどの、緊張感。
一触即発、という状態を再現するとこんな状態になるのかも知れない。
「あの人の体に刻んだメッセージが、どうやら伝わったようですね」
「こんな回りくどいことをなさらなくても、お招きいただければ伺いますよ」
「それは失敬。憶えておきましょう」
言葉の応酬。
不毛だが、楽しんでさえいる表情で続ける。
「巽さん――でしたか」
「まったく、私の名前まで御存知とは…つくづく呆れた人ですね」
「貴方が何故ここにいらしたのか――理由はいくつかおありなのでしょうけれど」
反応を確かめるような視線。
しかし、巽は眉一つ動かさず邑輝と対峙している。
「そうですね、例えば都筑さんの傷に義憤を感じた…なんていうのもあるかもしれません。でも、貴方は都筑さんの痛みを解ったと思い込んでいるに過ぎないんです。――何故って、貴方と都筑さんは異質な存在だからですよ。背負っているものがまるで違う」
滔々と言葉は紡がれ出した。
執拗なまでに都筑に固執する、その理由の片鱗を語っているようにも聞こえる。
「人間関係なんて所詮、勘違いの産物でしかない。理解出来たという思い込み、解り合えた振り、同じ想いだという希望的観測。そんなものに騙されながら形成されているものがほとんどです」
「興味深い考察ですね」
「同じものを持たないものに、その本当の重さは解りません。――巽さん、貴方もそうでしょう? 都筑さんの痛みを解ったと思い込んで、それを癒そうと願ったことがおありかもしませんが――貴方と都筑さんでは背負っているものがまるで違う」
「貴方も、そう思い込んでいらっしゃるわけですね」
ささやかな皮肉にほんの僅か反応を見せて、邑輝は唇の端で小さく笑った。
「私も都筑さんも、原罪を持って生まれた存在です。そういう意味ではあの坊やの方がまだ、貴方より都筑さんに近い。あの人の痛みを本当に理解できる存在になれる素養はあると言えましょう」
溜息。
邑輝の言葉がそれを機に、止む。
「おっしゃりたいことはそれだけですか?」
「何?」
「いろいろと興味深いお話でしたが…生憎、私は都筑さんほど素直ではありませんのでね。揺さ振りを掛けたいお気持ちはお察ししますが――時間の無駄です。私の結論は変わりません」
「そうですか、それは残念」
「都筑さんを傷付け続ける貴方には、然るべき代償の支払いを求めます」
絶対に、許さない。
深く、ココロに決め誓う。
あの人が負った傷の代償を。
守れなかった自分の甘さの償いを。
そして、彼に――都筑に平穏を。
その隣に、自分が在ることが叶わなくても。
「始めましょうか、ドクター」
冷たい声が開戦を告げた。
to be continued......
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